ディスポーザーとは?仕組みや設置するメリットなどを解説
- リフォーム豆知識

近年、ディスポーザーはキッチンの利便性を高める設備として注目され、新築マンションを中心に導入が広がっています。家庭で出る生ごみをその場で処理できる便利さから人気が高まっていますが、日本ではまだ普及率が高くなく、使ったことがない方には実態がわかりにくい面もあるでしょう。設置には条件や自治体のルール、メンテナンスの必要性など注意点もあるため、導入前にはしっかりと確認することが大切です。
今回はディスポーザーについて、仕組みや導入するメリットなどをご紹介します。ぜひ検討されている方は参考にしてみてください。
ディスポーザーの仕組みと2タイプの違い
ディスポーザーは、キッチンの排水口に生ゴミを投入し、水とともに粉砕・処理する装置で、シンク下に設置されます。内部のブレードが高速で回転し、野菜くずや食べ残しなどを細かく砕いて排水管へ流す仕組みで、専用の処理槽で分解されたあと、処理水が下水道などへ流れていきます。生ゴミの臭いやゴミ出しの手間を軽減できるため、キッチンの衛生面を保ちやすく、料理もより快適に楽しめる便利な設備です。
ディスポーザーには、主に「生物式ディスポーザー」と「機械式ディスポーザー」の2種類があり、それぞれに異なる特徴があります。
生物式ディスポーザー
生物式ディスポーザーは、主にマンションで導入されている方式で、家屋の敷地内に排水処理槽を設置し、ディスポーザーで細かく粉砕された生ゴミを微生物の力で分解処理します。処理後の水は下水道へと流される仕組みで、環境にやさしい点が特徴です。
ただし、処理槽の設置や維持管理に一定のスペースと手間がかかり、定期的なメンテナンスも必要となるため、戸建て住宅での導入にはあまり向いていないのが実情です。また、建物全体で処理設備を共有するケースも多く、個別の導入は難しい場合があります。
機械式ディスポーザー
機械式ディスポーザーは、主に戸建て住宅に向いているタイプで、キッチンのシンク下に専用の分離乾燥機を設置して使用します。調理中に出た生ゴミは、ディスポーザーのブレードで細かく粉砕された後、この乾燥機で加熱処理され、水分が蒸発します。乾燥したゴミは衛生的な状態で溜めておくことができ、内容量も減るため、ごみの量を大幅に抑えることが可能です。
乾燥後のゴミは、1〜2ヶ月に1回程度の頻度で、燃えるゴミとしてまとめて処分できます。設置スペースが比較的小さく済み、においの発生も少ないため、コンパクトかつ清潔なキッチン環境を維持したい家庭にぴったりの選択肢です。
ディスポーザーを導入するメリット
キッチンにディスポーザーを導入することで得られる主なメリットは、清潔さや利便性の向上など、日々の家事を快適にしてくれる点です。近年はその便利さが広く知られるようになり、特にマンションではディスポーザーの有無が購入の決め手になることもあるほど注目を集めています。こちらでは、ディスポーザーのメリットについてご紹介します。
キッチンを清潔に保ちやすくなる
キッチンの排水口や三角コーナーは生ゴミがたまりやすく、ぬめりや臭いが発生しやすいため掃除が苦手な人も多い場所です。ディスポーザーを使えば、生ゴミをその場で粉砕・処理できるため、三角コーナーが不要になり、排水口まわりも清潔に保てます。これにより、生ゴミの臭いや触感の不快さ、見た目の悪さから解放され、いつでも衛生的で快適なキッチン環境を実現できます。
ゴミ出しの量と回数を減らせる
日々の料理で出る水分を多く含んだ重たい生ゴミは、ゴミ出しの負担が大きくなりがちです。ディスポーザーを使えば、生ゴミを粉砕して下水に流すため、ゴミの量とゴミ出しの頻度を減らせるだけでなく、焼却施設の負担も軽減できます。これにより、燃焼時の環境負荷が下がり、SDGsの観点からも環境に優しい選択となります。生ゴミ処理の手間も減るため、快適なキッチン環境づくりに役立ちます。
臭いや害虫の発生を抑える
ディスポーザーがない場合、生ゴミは排水口や三角コーナーにまとめて置き、ゴミ出しの日まで保管しなければなりません。特に夏場は臭いや小バエ、ゴキブリなどの害虫が発生しやすく、不快な悩みの種となります。
しかし、ディスポーザーがあれば生ゴミをその場で処理できるため、悪臭や害虫の問題から解放され、ゴミ箱の汚れも減らせます。また、ゴミステーションでのカラスによる散乱も防止できるため、キッチンから地域環境まで清潔に保てるのが大きなメリットです。
環境にやさしい
多くの自治体では、生ゴミを可燃ごみとして回収しています。これらは焼却場で処理されますが、生ゴミは水分が多いため燃えにくく、多くのエネルギーを消費します。ディスポーザーを使って生ゴミの量を減らすことで、焼却時のCO2排出量を抑えることが可能になります。
ディスポーザーを導入するときの注意点
定期メンテナンスが必要になる
ディスポーザーは便利な設備ですが、長く快適に使い続けるには定期的なメンテナンスが欠かせません。使用を続けるうちに内部に汚れや油分が溜まり、排水トラブルや悪臭の原因となることがあります。
特に、処理後の排水を浄化する槽のメンテナンスは重要で、マンションでは専用配管や処理槽の点検・修繕が必要になるケースもあります。戸建て住宅であれば、氷を使った簡易的なケアで対応できることもありますが、いずれの場合も一定の維持費や手間が発生する点には注意が必要です。
電気代や水道代の負担が増す可能性
ディスポーザーは使用時に電気と水を消費するため、電気代・水道代がかかります。使用頻度や家庭の自炊状況によって変動しますが、多くの場合、月に数百円〜1,000円程度で収まることがほとんどです。電気代の高騰が気になる昨今でも、台所の清潔さや手間の削減を考えれば、十分に見合う出費だと感じる人も多いでしょう。
作動時の音が気になることも
ディスポーザーの使用時には、モーター音や生ゴミを粉砕する際の作動音が発生します。その音は機種や使用状況によって差はありますが、一般的にフードプロセッサーに近い大きさです。特にマンションなどの集合住宅では、配管を通じて音が伝わりやすく、近隣への配慮が必要です。深夜や早朝の使用は洗濯機や掃除機と同様、生活音として気になることもあるため、周囲の生活リズムを考慮して使用することが望ましいでしょう。
物件によっては設置できないケースも
ディスポーザーはどんな住宅にも設置できるわけではなく、専用の排水システムが整っていることが条件です。マンションでは、対応している物件でなければ取り付けられませんし、戸建て住宅でも排水処理設備を新たに設置する必要があり、その分の工事費用や手間がかかることをあらかじめ把握しておきましょう。
まとめ
ディスポーザーは生ゴミの処理を簡単にし、家事の効率化やキッチンの清潔さ維持に大きく役立ちます。設置やメンテナンスにかかる費用や地域・建物ごとの設置条件を事前に確認することが重要ですが、その手軽さと効果の高さから、多くの家庭で欠かせない設備になりつつあります。快適なキッチン環境を目指すなら、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。