コンサバトリーとは?設置するメリットや活用方法について
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コンサバトリーをご存じでしょうか?これは屋内と屋外をつなぐ中間的な空間で、ヨーロッパをはじめ世界中で採用されている伝統的な建築様式です。サンルームやガーデンルームとも異なり、住まいの中に新しい居場所をつくり出せる魅力があります。近年、家での過ごし方をより快適に、そして理想的にしたいというニーズの高まりから注目を集めています。認知度はまだ低いものの、暮らしを豊かにする新たな選択肢として取り入れる人が増えています。
今回は、コンサバトリーについて、設置するメリットや活用方法をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
コンサバトリーとは
コンサバトリー(Conservatory)は、イギリス発祥のガラス張りの空間で、名前はフランス語の「Conserve(保存)」に由来します。元々は南国の果物を寒さから守る温室や貯蔵庫として使われていましたが、時代とともに居住性が加わり、人が過ごすための快適な空間へと進化しました。壁や屋根がガラスで構成され、サンルームやガーデンルームに似ていますが、一部屋分の広さを持ち、屋外と屋内をつなぐ中間的な空間として設けられる点が特徴です。
趣味の部屋やガーデニングスペース、リビング・ダイニングの延長など、多目的に活用できます。近年ではエアコンや断熱性の高いガラス、ルーフカーテンなどを採用することで、真夏でも快適に過ごせる工夫が可能です。広々としたガラス張りの空間は、自然光をたっぷり取り入れながら、住まいの中に新しいライフスタイルを提案する場として注目されています。
コンサバトリーの代表的なスタイル
こちらでは、コンサバトリーの代表的なスタイルについてご紹介します。
ヴィクトリアンモデル
ヴィクトリア王朝時代の建築スタイルに基づいたヴィクトリアンモデルは、19世紀中頃から20世紀初頭にかけて流行しました。このスタイルは、繊細で品のある多角形の屋根が特徴で、視界を広げる開放感を楽しめます。
特に、複雑なデザインながらも強度に優れた骨組み構造が可能となり、気品と美しさを兼ね備えています。代表的な建築物には、1851年にロンドン万博の会場として建てられたクリスタルパレスがあります。ガラスと鉄筋が普及したことで、女性的なデザインの中にも耐久性が備わり、現在でも多くの人々に愛され続けています。
エドワーディアンモデル
20世紀初頭のエドワード王朝時代に発祥した四角形のコンサバトリーで、四方の壁がガラス張りとなり、開放感と空間利用の合理性が特徴です。このスタイルは、バランスの取れたデザインが魅力で、力強く豪華な印象を与えます。
女性的なヴィクトリアンモデルとは対照的に、エドワーディアンモデルはカリスマ性を感じさせ、まるでコンサバトリー界の王様のような佇まいを持っています。その美しさとデザイン性の高さは、今でも多くの人々に愛されています。
リーントゥモデル
イギリス製コンサバトリーの中でも最初に木材とガラスで作られた「オランジェリー(温室)」が原点となっているスタイルです。片流れの屋根と四角形の構造が特徴で、シンプルなデザインがどんな住宅にも適応できる汎用性を持っています。この伝統的なスタイルは、後のコンサバトリーに多大な影響を与え、現在では日本でもサンルームとして定着しています。その歴史は非常に長く、コンサバトリーの基盤となる重要な形式です。
パヴィリオンモデル
切妻屋根造りが特徴のこのモデルは、シンプルでありながら非常に魅力的で、四角形の部屋構造によりゆったりとした空間を提供します。そのデザインはどんな建築スタイルにも調和し、意外にも和風の庭や住宅にもぴったりと馴染みます。
かつては貴族の庭に造られた「別棟」や「離れ」など、あずまやのような建築物として親しまれていました。今では、博覧会や展示会で使われる仮設建物としても認知されています。全面にはサンバースト装飾が施されており、シンプルながらデザイン性の高さが際立っています。
コンサバトリーのメリット
こちらでは、コンサバトリーのメリットについてご紹介します。
明るい室内空間が作れる
コンサバトリーを設けることで、住まいに自然光をたっぷり取り入れ、明るく開放的な空間を作り出せます。ガラス張りの設計により、空や庭の自然を感じながら、リビングやダイニングの延長として活用でき、セカンドリビングやダイニングとしてお茶を楽しんだり、食事をしたりすることができます。この空間は、室内にいながら四季の変化や庭の景色、空模様を味わえる贅沢なひとときを提供します。
四季それぞれ快適にくつろげる空間
コンサバトリーはガラス張りのため、季節を問わず明るく開放的な空間が広がります。特に日照時間が短くなる冬でも、自然光を取り入れた温かなリラックス空間として、心地よく過ごすことができます。日差しの中でゆったりとした時間を楽しむことができる場所です。
趣味を楽しむ空間ができる
アートや手作りが好きな方ならアトリエなど、趣味専用の空間を求める方は多いのではないでしょうか。リビングや自室とは一味違う特別な空間で、自分の趣味を存分に楽しめるのもコンサバトリーならではの魅力です。心地よい空間の中で、好きなことに没頭する時間が、暮らしをより豊かにしてくれることでしょう。
コンサバトリーの活用方法
コンサバトリーは、ライフスタイルに合わせてさまざま使用方法があります。こちらでは、コンサバトリーの活用方法について代表的な例をご紹介します。
ガーデニングを楽しむ
ガーデニングに最適な環境を提供する空間です。屋根や壁面がガラス張りのため、日当たりが良く、強風や大雨などの悪天候にも影響されません。そのため、季節を問わず、さまざまな種類の植物を育てることができ、特に冬場でも自然光をたっぷり取り入れることができます。また、温室としての利用に加え、果物の貯蔵やガーデニング用品の収納場所としても活用できる機能性を兼ね備えています。
リビング・ダイニングの延長として空間を広げる
屋内と屋外をつなぐ中間的な空間として、リビングやダイニング、キッチンの延長として活用できます。この空間は、家具を配置する余裕があり、リビング・ダイニングに続く新たな生活スペースとして使えます。
また、作業や収納スペースを確保し、室内から屋外へのスムーズな移動も可能にします。さらに、設計によっては水回りやエアコンなどの生活家電を設置でき、アウトドアリビングとして家族や来客とともに過ごすのにも適した場所です。
多目的空間として使用する
パーティーやティータイムを楽しむ場所としてはもちろん、趣味に没頭したり、リラックスしたひとときを過ごしたりと、多目的に活用できます。また、仕事部屋や子どもの遊び場、雨の日や梅雨の時期に洗濯物を干す場所としても最適です。ライフスタイルやアイデア次第で、その使い方は無限に広がります。
まとめ
伝統的な建築様式を持つコンサバトリーは、歴史的な風格と魅力を持つ空間として人気です。もともとは植物や果物を育てる温室として誕生したこの空間は、ガーデニングスペースだけでなく、LDKの拡張、パーティールーム、さらにはアウトドアリビングや趣味の場所としても活用できます。外の景色を楽しみながら、雨風や極端な天候を避けて快適に過ごせるコンサバトリーで、理想的な空間を作り上げてみてはいかがでしょうか。